China-ACG

中国のアニメ、コミックス、ゲーム、そして時々映画、ドラマ等について徒然と。

日中合作アニメ:2016年(前編)

中国的資本✕日本的技術

中国資本が日本のIPを買い漁る業界のトレンド、2DCGという独自のハイブリッド制作方法がガラパゴス的かつ特異的に発展している日本の特殊性、悪しき慣習に囚われた日本のアニメ産業のブレークスルーとしての日中合作等、有るようでいて意外に無かった日中間におけるアニメ制作の協業が下記著作で詳述されている。

下記著作ではマクロな観点から、過去、現在、未来の日中合作について詳述されていたが、個別の作品に関するミクロな観点からの分析や詳解は限定的であった印象がある。気になったので、ミクロな観点からの補足を前編・後編の構成でまとめてみたい。

2016年に放送された日中合作アニメ8タイトル

下表の通り、2016年には日中合作で合計8タイトルのアニメが制作された。

No. 中国語タイトル 日本語タイトル 放送時期 出資者
1 『从前有座灵剑山』 『霊剣山』 2016年1月 テンセントアニメ
2 『龙心战记』 『聖戦ケルベロス 2016年3月 iQiyi
3 一人之下 一人之下 2016年7月 テンセントアニメ
4 『星梦手记』 アイドルメモリーズ 2016年10月 Happy Elements
5 『侍灵演武』 『侍霊演舞』 2016年10月 Youku Tudou
6 『时空使徒』 ブラッディヴォーレス 2016年10月 テンセントアニメ
7 『一课一练』 CHEATING CRAFT 2016年10月 絵夢
8 『凸变英雄』 To Be HERO 2016年10月 絵夢

aja.gr.jp

アニメ産業レポートによると、2015年の制作分数がそれぞれ

  1. 全日=5.5万分
  2. 深夜=6万分

であったので、(11.5万分/20分)/30(※各クール平均7.5タイトル)と概算すると年間で約200タイトルが制作されたことになる。2015年のデータではあるものの、日中合作アニメの日本の年間制作タイトルに占める割合は僅か4%でしかない。日中合作アニメにとっての元年である2016年の僅かな成果(※量的な意味において)を皮切りに、今後益々アニメ制作において日本と中国が資本、技術、市場という各要素の複雑な組合せによってお互いを引き寄せ合う趨勢が強まるのではないかと考える。仮にそうだとすると、その第一歩としての8タイトルは果たして商業的に成功したタイトルに成り得たのだろうか?あるいは、アニメ製作・制作に係るイノベーションに何か貢献を果たしたのだろうか?